僕らは何を捨てられるか | ha-gakure

僕らは何を捨てられるか

2012.12.6


人生の中で数回あるステップアップチャンスの時には「何を捨てれるか」が最大のポイントだね。

過去の集積が今の暮らしを支えてるのだから「アレもコレも大切なものなんだ!現状維持のまま新しいソレ欲しいんだよなー」

という気持ちは大変良くわかる。それが出来たら楽だし、一番美味しいもんね。

だけど何だろう。

自然の摂理?
宇宙の法則?
キャリーオーバー?
実現のためには、大事な幾つかの中から必ずひとつ捨てなきゃダメみたい。不思議だね。

ーーーーーーーーーーー除染ーーーーーーーー

福島第一原発の近所の避難区域になってた富岡町の村長さんの帰村に向けてのドキュメンタリー見てました。
懸命に除染作業して、廃棄物置き場探して、少しずつ帰村する人々が増えて来たという内容だったよ。

ーーーーーーーーふと、思うーーーーー

肝心の福島第一原発が収束してないです。

懸命に冷しているものの、依然として放射能を吐き出している。

そして除染。

土を剥がし、木を倒し、屋根、窓を洗い流し、仮置き場を作り放射能物質を集積。

ーーーーー努力の甲斐あって染量が下がるーーーーーー

しかし、風が吹けば、雨が降れば、また数ヶ月で元の染量に戻る。。。

—————-LOOP———————-

偶然、俺には福島の友達が一人いる。

その彼も今は家族で仙台に引っ越して、彼だけが仕事で福島に通っている。

「除染始まって良かったね!」と、その彼とメールをやり取りしたんやけどね、その返信の事ね、今思い出してる。

「うん、ようやく除染が始まったけど、 フクイチそのままで意味があるか?って皆で話してます」と。

確かに。

日本政府が除染費用として計上したのは1兆円だって。
今後10兆まで膨らむ可能性まで。凄い規模だよね。日本って凄いなって思う。お金あるんだなぁって。

だけどね、そのお金を狙ってる人も沢山いるんだよな。
フクイチ関連の仕事はビッグビジネスだって言ってる人もいるんだね。腐ってるね。

そして内閣府が「除染」に指定した業者は3社。

見事に大手ゼネコン。
◯成、◯林、鹿◯。
そこで頑張ってる人も沢山いるからね。フルネームは駄目です。

どれも日本を支える立派な会社ですが、事、除染となると話は別。
全く素人、これから作業しながら実績と知識を積んでゆく、と息巻いておられますが、最大の憂鬱はね、、、、

日本にある原発54基の内の45基をこの三社が造ってるんだよな。

造って儲けて、壊れて儲かる、この仕組み、さすがにアカラサマじゃないかな原子力業界さん。

しかもえらいピンハネしてるみたいだね。

国から1兆円貰ってるのに危険な仕事は全部下請けに安く回して、事業費(税金)ガッポリは流石にやり過ぎたね。

<数ヶ月で元に戻ってしまう除染に国費1兆円投下する日本、三社独占の挙げ句、下請けピンハネ>ってニューヨークタイムズにスッパ抜かれてたね。

しかも今夜のドキュメンタリーで知った訳だけどもね、富岡町や周辺の他の村の若い男の人たち、哀しいことに、村で農業するより、町の工場で働くより、役場で働くより、福島第一原発の危険な仕事の方がお金が良いから、みんなそっちに行ってしまうんだ、 って村長嘆いてた。

「これじゃ何のための帰村なのか、3.11から我々は何を学んだのか」ってね。

とても印象的だったよ。

ーーーーーこんな俺がこんな大きな事案に意見なんて本当に申し訳ないんだけど、選挙も近いからお怒りを承知で言わせてもらうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先日、国から「5年は住めない」と宣言された村がありましたね。

偉いと思いますよ、思い切って伝えてね。思いますが正直、5年経てば、、、

「あと5年」さらに「10年待って」となるような気がしてならないのです。

除染の有効さも、確かな効果も確立されてない未知の作業の最初の段階で、
「5年待って!」と言える根拠と神経がわからない。

例えが不謹慎かも分からないけど、不安定なカップルの言い訳に聞こえます。

「東京で一華咲かせて5年後に絶対に迎えに来るから」 根拠が曖昧です。

「待つ」「待たせる」という行為がどれだけ過酷か偉いさんは真剣に考えてあげなさい。

「いつになったら結婚できるの?」

「あと少し待って」
「具体的にいつまで?こっちにはこっちの人生があるの!」

「うーん、じゃ5年!」

これは愛ではない。
自己保身だ。自分可愛さだ。

俺にはそんな覚悟はないが、本物の愛を持つ奴はきっとこう言うのだ。

「お前は好きだが、、今は結婚出来ない。その環境がいつ準備できるか分からない。すまん!何も約束出来ない」

と言えればね。そしたら相手はショックだけど、次の作戦やら、人生設計の組み直しやら、色々出来ることの選択肢増えるの。

それを根拠もなく「5年待って!たぶんその頃には何とかするから!」ってのは騙し騙しの雑雑だよな。相手に失礼。待ち奴隷じゃないんだから。

もうハッキリ言おう。

そうやって賠償金、補償金逃れの曖昧さやら、東電、原子力業界ズブズブ仲良し会の裏側やら、世論の反発恐れて煙に巻く作戦ばかり思いつく癖やら、うわべだけ美辞麗句ならべたつもりでもバレてるの。

だけどね、過酷な仮設住宅で帰村の日を待ちわびてる人々はね、未来の見えない「今」、藁をもすがる気持ちで日々を送っているからね、偉い人たちが「あと5年!」って言うて新聞やらテレビで流されると信じてしまうでしょ。

「あぁ、とにかく、あと5年経てば、、」

本当に守れるの?次裏切ったら精神的に立てないよあの人たちも日本も。

—————なぜ—————————–

どうして原発が収束してない今の段階でそんな事言うの?どうせ政権が変わるから?

先ず、効果があるかどうかハッキリしない「除染」という作業に1兆円(今後10兆、最終的に100兆円とか)使って、しかもたった三社の大手ゼネコンにバラまくという貧相な発想から脱却して、その1兆円でなぜ仮設住宅よりマトモなマンション沢山立てないの?

そう安全な場所に家を立て、仕事が見つかるまで、期限付きでも良い、充分暮らせるお金渡しなよ。
やってもやっても元に戻る除染って作業に税金1兆円、10兆円とか垂れ流されるより断然嬉しいし意味があるよ。

出来ないのはなぜ?
言えないんだろ?

「あなたの命の為に、諦めてほしい」って。

そりゃ辛いことだ、本当に。
でもね、これは国難なの。本物の。

こういう時こそ優先順位だろ。

だれだってわかってる。一番は命あってのお金とか仕事とか家族、故郷だろ。
みんな先祖代々の土地を離れたくない。だから国は優先順位を冷静に伝えて、彼らが不足なく生活出来る納得出来るだけの資金を国費として渡すべきです。

「正直に現状を告白する事」
最初にそれだ。何よりそれだ。心を鬼にして伝えるべきなんだ。なるべく早期に。

「ここに安心して住めるようになるのはいつになるか分からない。チェルノブイリは一部除染したが、切りがないので大半を立ち入り禁止にしました。それは4半世紀過ぎた今でも続いています。今後も封鎖が解ける様子はありません。あなたたちを明日が見えないまま、いつまでも、この仮設で宙ぶらりんのまま待たせる訳にはいかない。どうか、次のステップに共に力を合わせ進んでいきませんか?」と言える政治家、政党が何故いない!

無限ループの「除染」に何兆ものお金を垂れ流し、原発を造って儲けて、壊れて儲ける3社のゼネコンだけで金を回させ、下請けを安く買い叩き、避難区域に住む人らを再度、原発に送り込むなんて俺には鬼畜に見えるね。

真実を伝え、知り、「明らかに観る」事が出来て人は初めて『諦める』ことが出来るのだよ。
最初はキツいけどね、それは人間としてとても豊かなことなんだよ。停滞しないって事は。進めるという事は。

そろそろね、国もね、そして僕らも、このメルトダウンという国難に対して「忘れよう」「遠くに追いやろう」みたいな空気がだんだん拡がって来てるね。

ここで民度のステップアップしなかったら俺もう駄目だと思ってる。
国としてもね。まぁ国というか、国体というか。アイデンティティーとかね。

政治する人たち、偉い官僚のあなたたちは面子とかプライドとか先ず捨ててよ。僕らは復興と称す血税の行方に注目した方が良いよ。
そして、何兆円もの大切な国のお金が、国の面子を保つ為に、正直に話す勇気がない為に、除染という無限ループにハマりつつあって、たった三社の大金持ちの会社だけで回ってるって
知った方が良いよ。

そして俺は、今、避難している人たちに、全てを明らかにし、「諦める」という選択肢を誠実に提供できる勇気ある政党に投票したいと思ってる。
その一兆円(見込みでは10兆用意してると)があれば、新しい生活環境(家、仕事、お金)を確実に提供することが可能じゃないか。
なぜ前に進もうとしないの?

どこの党も「復興!復興!」ってね。「一日も早く福島に安心の暮らしを」ってね。いつまで騙すつもりだろうね。こんな男と付き合っては酷い目に遭います。

欲張って全部欲しがっても駄目なの。人の評価ばかり気にしないで。僕らもダメだしばかりの世論から卒業しなきゃ。

人生の中で1回あるかないかのステップアップチャンスの時だ。

「何を捨てれるか」が勝負なんだから。