ムラオ3
2007.06.28
次の日教室に入ると明らかに拒絶と分かる態度と空気で以てムラオは迎えられた。
席に座ると後ろの輩3人が消しゴムを頭に投げてきた。
「あ、すまんすまん。ゴミ箱かと思った〜」
ムラオはもう耐えなかった。
ムラオはもう前とは違っていた。
ムラオにはムラサキが付いているのだ。
「おんどりゃ!!貴様かっ!おぅ?コラ!!!!」
と言ってムラオは真ん中の金髪ドレッドの男に掴みかかった。
「おんどれがナンボのもんじゃい!!」
喧嘩は先手必勝である。試合じゃあるまいし相手の出方を待つなんてやり方は有り得ない。というのは「今日から俺は」という漫画で既に刷り込み済みであった。
剣豪の名を欲しいままに無敗を誇ったカノ宮本武蔵なんて、自分より弱いと確信した相手としか試合しなかったのである。
さぁ、今のムラオの状況を見てみよう。
彼は相手の金髪ドレッド(略して金ド)がどれほど強いかの情報が先ずない。
更に身長で言えば金ドがどう見ても185センチ、一方のムラオは175センチ、体重で言っても金ドが90キロ、ムラオは65キロ。これは上に乗られたら一巻の終わりであり、マウント状態で殴られ続け意識は遠のき、更に喧嘩を売ってる分、余計に金ドはヒートアップしていることを考慮すると全治3か月は下らないだろう。
リスクは高い。
と言ってる内に何とムラオが金ドをいわしたようである。
「コラッ金髪!!立てやオラ!!!」
本当に立ってしまった。
こういう場合、本当に立ってしまったという意外な展開に人間というものは一瞬テンパってしまうもんである。例外に漏れずムラオも同じであり、その次の瞬間にはボコボコにされていた。
「おーおーおー!!やってくれるのぅ!!!!おんどりゃ!!」
と言いながら横たわるムラオの横腹を蹴り上げる。
ムラオは泣いていた。
泣いていた、ムラオは。
「やめて〜!!!」
一人の女子が叫んだ。